うちの卒業生が教室に遊びに来てくれたときの話。
楽しく会話して、「セッションやろう!」
ってことになって、アドリブセッションをやりました。
楽しく弾いていたのですが、セッションが終わって、
ちょっと会話を始めようとしたときに、
この卒業生、こんなことを言い出しました。
「先生、僕、下手になっているでしょう?」
僕は、卒業している生徒さんには基本楽しくやることに決めています。
だから、聞かれもしないかぎりは腕前のことを言うことはありません。
確かに、下手っぴに成り下がっていたのは音出した瞬間にわかりました。
でも、スルーしました。
ところがこの卒業生、自分からそれを聞いてきた。
だったら、答えるのが僕の責任です。
彼をサポートしたのは僕なので。
なので、話を聞いていると、彼はこういいました。
「先生とこで弾けるようになって、音楽やっていたんだけど、
なんかよくわからん壁にぶち当たっているように思うんです。
前みたいに「すごいなぁ、めっちゃ上手いなぁ」とかも言われなくなったし…」
僕は黙って相槌だけうってました。
すると、彼はこう続けたのです。
「卒業して、こんな事先生に聞くのはアレなんですが、、、
僕、おかしくなってないですか?」
と。
こう聞いてくる時点で聡明な人だと思ったので、こう答えました。
「多分、その分やと、わかりやすい練習しかしてないんちゃうか?」
と。
これで彼はわかったようです。
数日経って、
「基本が抜けてました、もう1回お世話になりたいと思います。」
とメールが来ました。
彼は何に気づいたんだと思いますか?
彼が気づいたのは…
トーンとリズムです。
バッキングやリズムギターをやることで磨いていた、
トーンとリズムを正確に表現するスキルを無視していたから
下手になった、
と気づいたのです。
バッキングやリズムギターというのはギター演奏の基本を作ってくれるモノです。
でも、それって終わることがない。
だから、僕なんか音楽学校卒業して20年以上経つけど、未だにバッキングの練習オンリーです。
でも、間違いなく、1年前より今の方が腕が良いとわかります。
ギターというのは厄介な楽器です。
色々出来る楽器だからです。
リードもソロもある。
視覚的に派手なテクニックもある。
曲も作れる。
アレンジもやりやすい。
だからこそ、色々やって、むちゃくちゃになるんですね。
そして、地味なバッキングはすぐに出来た気になっておろそかに。
ほんとに上手いギタリストはバッキングを正しいやり方で徹底し、
下手っぴギタリストはバッキングを軽く見て、混乱する。
これはよくある真実だと思いますよ。
ということで、今日もリズムギターををやりましょう。