ある本を読んでいたら、

「徒然草」の一節に出会いました。

 

 

もちろん、読んだのは

「徒然草」ではございません。

 

 

ある作家さんの話。

 

 

 

この方の旦那さんが急死した。

 

 

それで悲しみの中、

脳裏に徒然草の一節がよぎったそうです。

 

 

死は前よりしも来たらず、
かねてうしろに迫れり。

人みな死あることを知りて、
待つことしかも急ならざるに、
覚えずしてくる。

沖の干潟はるかなれども
磯より潮の満つるが如し。

 

 

 

要するに、

 

人はいつ死ぬかわからんよ、

突然来るぞ、まるで背後に

ひっそりと潜んでおるようだ、

 

ということを言っているのです。

 

 

 

いわば強制終了だ、ということですが…

 

これは本当にそうだと思うのです。

 

 

 

というのも、僕はこれを読んで祖父のことを

思い出したのです。

 

 

祖父は僕のことを

めちゃくちゃ可愛がってくれました。

 

 

自分に顔がそっくりだと言うこともあったのか、

自分には娘しかいなかったからなのか。

 

 

今では聞くことは出来ないけど、

なんせめちゃくちゃ可愛がってくれました。

 

 

僕も祖父のことは大好きでした。

 

 

色々反抗したこともあったけど、

亡くなった時に後悔の念が押し寄せてきました。

 

 

 

あの時、僕は16歳でした。

 

 

ある朝、突然死した。

 

 

死因は心不全。

 

 

奇しくも先の作家さんの旦那さんと

同じ病気でした。

 

 

だからこそ、祖父のことを思い出したのです。

 

 

 

あの16歳の時、「人は突然死ぬ」ということを

経験しているのに、いつの間にか

その感覚は忘れてしまっていたなぁ、

と改めておもったのです。

 

 

 

今、ありがたいことに生徒さんを

たくさん抱えさせてもらっています。

 

 

でも、その生徒さん一人ひとりに

どれだけのことが出来ているだろうか、

と考えてしまいました。

 

 

もしかしたら、生徒さんだって

突然いなくなるかもしれません。

 

 

逆に僕がこれを書いた数分後に

この世からいなくなる可能性もあるのです。

 

 

 

普段、僕たちは死というのを忌むべきものとして

遠く忘れてしまうけど、死ほど自分を正気に

させてくれるものもない気がします。

 

 

自分以外のものの死ですら

ごまかせないのですから。

 

 

 

だからこそ、好きなことを一生懸命やりましょう。

 

 

いろんな理不尽も楽しめる自分になりましょう。

 

 

他人も自分も喜べるような

日々をすごそうではありませんか。