もう、20年以上前の話です。

 

 

祖母の実家に行ったときのことです。

 

 

そこのおじさんがお茶を淹れてくれた。

 

 

熱湯を空の湯呑にいれて、

急須にお茶の葉を入れるんです。

 

 

で、なんか世間話を始めるんです。

 

 

 

僕は当時、大学生でした。

 

 

お茶淹れる用意をしてくれているのは

わかっていたのですが世間話ばかりして

一向に茶を淹れてくれない。

 

 

「注意散漫な人なんやな」

 

とか内心失礼なことを考えていました。

 

 

 

で、10分位経ったころでしょうか。

 

 

おもむろにお茶を淹れてくれました。

 

 

で、飲んでみると案の定ぬるい。

 

 

ところが、そのお茶。

 

 

今までに飲んだことがないくらい

美味しかったのです。

 

 

つい、そのおじさんにいいました。

 

 

「おじさん、このお茶めっちゃ美味しいですね。

 

僕、こんな美味しいお茶初めて飲みました」

 

 

すると、そのおじさんが笑いながら

教えてくれたんです。

 

 

特別な茶葉を使わなくても

お茶を美味しく飲む作法というものがある、

と。

 

 

一煎目は温めの湯を淹れて出すと

お茶の甘みが出る。

 

 

二煎目は熱めの湯を淹れて出すと

渋みが出る。

 

 

三煎目は熱湯を淹れて出すと

苦味が出る。

 

 

 

お茶を美味しく飲む作法があることを

知ったわけですが、この作法を無視して

一煎目から熱湯を淹れてお茶を出すと

甘みも渋みもなく、いきなり苦いのが出ます。

 

 

これではお茶を栽培している人も

無念でしょう。

 

 

茶の本来の持ち味を滅してしまい

苦い茶が出るのでこれを

滅茶苦茶というわけです。

 

 

 

昔の人は色々やってお茶のポテンシャルを

引き出す術を見つけたわけです。

 

 

これを作法というのでしょう。

 

 

この作法に則れば誰でも同じことが出来る。

 

 

 

さて。

 

 

これはギターも同じです。

 

 

ギターにも作法がある。

 

 

 

どのように身体を使ったら楽に弾けるか?

 

 

そういう作法があるわけです。

 

 

どういう順番で攻略するとスムーズか?

 

 

そういう作法があるのです。

 

 

 

よく、ギターの世界では

人に教わることを嫌う人間がいます。

 

 

実は僕も最初はそうでした。

 

 

ギターを人に教わるのはダサい。

 

そう思っていました。

 

 

 

しかし、よく考えると

それは滅茶苦茶なのです。

 

 

茶のポテンシャルを自分で殺して、

苦い茶ばっか飲んで苦い苦いと文句を言う。

 

 

未熟にも程がある。

 

 

我ながら振り返ると恥ずかしいですが、

こういうのはホント悪癖、悪性だと

言わざるを得ないです。

 

 

滅茶苦茶にならないようにしたいものです。