ある老人が美しい島に住んでいました。

老人はこの島が大好き。

先祖代々暮らしてきたこの島が大好きでした。

 

そんな老人は自分の死期を悟りました。

息子たちに家の外に連れて出てほしいと頼みました。

 

外に出ると老人はひざまづき、土を一握り掴みました。

そして、節くれだった指で土をギュッと握りました。

 

それからまもなく老人はなくなりました。

老人が気づくと目の前には天国の門が。

天使たちは嬉しそうに彼を迎えました。

 

老人はその門を潜ろうとした時に天使が言いました。

「手に持っている土を放しなさい」

老人は言いました。

「それは出来ません、絶対に。これは故郷の大事な土なのです。」

 

天使たちはそれを聞き悲しそうに引き返しました。

老人は門の外で取り残されてしまいました。

 

 

この話は地中海沿岸地方に伝わる寓話です。

この老人は自分の大好きな故郷の土を手放しませんでした。

でも、そうすることで天国に入るのは許されませんでした。

 

これは何を意味するでしょう?

使えなくなったものにいつまでもしがみついていると先には進めない

ということを意味しているのではないでしょうか。

 

 

これはギター教えているとたまに見る光景です。

新しいことを教えても、それが「理解できない」という理由で役に立たない今までの練習にこだわってしまうのです。

これはまるでこの話に出てくる老人のようです。

 

でも、これが人間のサガだとも思います。

自分が慣れ親しんだものに執着する。

安心に執着するわけです。

 

でも、このサガは抗えるのです。

役に立たないものにしがみつくほど馬鹿馬鹿しいものはありませんから。

だって、一度、新しいものに親しんだら今度はそれに安心を得るようになっているのだから。

 

あなたは役に立たなくなったものや考え方にしがみついていないでしょうか?

 

 

追記

ちなみにこの老人は最終的に天国に入れます。

なぜ入れたのか?

それはまたのお楽しみ。