「成長」と聞くと
あなたはどんなことを
思い浮かべるでしょうか?
「成長」とは、どういうものか?
そう自分の子供に聞かれたとしたら
あなたはどう答えるだろう?
ギターに限らないけど
誰しもが「成長」といわれると
望ましいものだと思うものです。
「成長とかメンドクセ」
とか言って突っ張るような人でも
成長できなかったときのために
予防線を張っているだけであり
本心は成長できるならしたいと思うものです。
人間とは分化成長発展するように
DNAレベルで創られた生き物である、というのは
何千年も前からいわれている
観察結果であります。
さて。
先日、娘の幼稚園の送迎が終わって
帰路につく時に聞いているオーディオブックから
こんな話が流れてきました。
指揮者に勧められて、
客席から演奏を聴いたクラリネット奏者がいる。そのとき彼は、初めて音楽を聴いた。
その後は上手に吹くことを超えて、
音楽を創造するようになった。これが成長である。
仕事のやり方を変えたのではない。
意味を加えたのだった。
これ、ギターでも同じだと思います。
最初はうまくなることばかりを追い求める。
弾けないから当然ですよね。
でも、それが弾けるようになる。
これも成長には違いないけど
この成長は脆いのです。
「飽きた」とか言って
ろくろく意味もわからんくせに
なにか悟った気になって辞めてしまう人もいます。
そこまで行くのが大変で
今後、色々弾けるようになる未来と
そこまで行く労力を天秤にかけて
嫌になって辞める人もいます。
ともに演奏することや
ギターを弾くことに意味を見出せていないのです。
そうではなく。
演奏に意味が見出せるところまで行くと
「弾ける弾けない」という打算的な発想や
「趣味でやっている」などという予防線が
不要になる。
演奏に意味が見いだせるようになることは
人間的成長であり
そこまでいくことに意味がある。
挫折は全く無縁となります。
そもそも「弾ける弾けない」「上手い下手」というモノサシで動いてないからです。
それ以上の意味を見出しているのだから
弾ける弾けない、上手い下手など
過去の未熟な自分の価値観となり
「あぁ、あの頃は未熟だったなぁ」と
振り返られるようになる。
こういう価値観の変化、
世界観(世界の見方)が変わるのが
本当の成長なのです。
人間とは肉の塊ではなく、
精神があるからこそ、
東洋では「性」という概念があるほどです。
性とはいわゆる男女の性、sexのことを
指す言葉ではありません。
文字を見てみましょう、
「生」にリッシンベンがついている。
リッシンベンとは心のことです。
文字を見たら明らかなのですが
性とは物理的な生命だけでなく
魂という見えないものを含んだ
存在そのものを指す言葉となるのです。
つまり、僕達、ギターを弾く人間というのは
精神、魂、物理的生命からなる「存在」である
という意味です。
こうやって物理的生命以上の存在である、
ということを踏まえると
弾ける弾けない、上手い下手というのは
物理的なものだけを主に見ていることが
わかるでしょう?
そうではなく、もっと心を含めた
人間の「存在」レベルでものを見て
「成長」というべきである。
ということを著者はいいたいのです。
それはクラリネットであろうが
仕事であろうが
ギターであろうが同じであります。
あなたは自分がギターを弾くことに
意味を見出しているでしょうか。
なかなか難しいことではありますが
こればかりは見出すためのテクニックなど
ありません。
自分と向き合うしかない。
演奏と向き合うしかない。
費やす時間、労力、お金という
モノサシで図れない。
それこそ、「真剣」「誠実」という
精神的態度がないと
見いだせないものでしょう。
でも、ギターは「あなた」という人間を
一皮剥いてくれる営みの一つであることは
変わりありません。
上達する、しない…という「モノサシ」以上の
意味が見いだせるようになる、という
本当に価値ある成長体験が
あなたに訪れることを祈ります。