何事もそうですが、ものごとを良くするには…
良くなる方法を実践するか
良くならない方法を省くこと
このどちらか、もしくは両方を実践すれば
好転します。
そして、実は簡単なのは後者のほう…
つまり、良くならない方法を省くことの方が
簡単かつ明瞭であることが多い。
例えば、家計を考えるとき、
多くの人はこれをやります。
多くの収入を得ることを考えるより
無駄な支出を省けば、省いた分の収入を
得たのとおなじことです。
家計ほどわかりやすくは無いですが
ギターも全くこれと同じ。
うまくなる方法を徹底するより
やらないほうが良いことを省けば
結果としては勝手に上達しるものです。
でも、ギターになると家計と違って
省くことをする人は少ない印象です。
その結果、90%の挫折率というのは
なんとも複雑な感があります。
ちょっとここで思い出した話があるので
シェアさせてください。
音楽学校に入った頃の話。
僕は絶望感を感じていました。
バンドやライブの経験が散々あったので
先生の評価は良かったのですが、
周りの人間は僕以上に複雑なものが弾けた。
一見良いように見えるかもしれませんが
これは当時の僕にとっては
不安でしかありませんでした。
「どんどんデモを録って売り出していこう」
学校の偉い先生はそう言ってくれるのですが
その話に乗るのが不安で仕方ない。
だって周りの学生は僕よりも複雑なものが
弾けるのだから。
こんな体たらくでデビューなんかしたら
どうなるのか?と思っていたのです。
そんな風に迷っていた時に
直接ギター教えてくれる先生に
こう言われました。
「リズムギターすら弾けてない」
「4分とか8分も弾けないのに
ソロもクソもない」
奈落の底に突き落とされたような
ご指摘。
なんとか絶望の中、気を持ち直し、
リズムギターを精進したら良いのはわかるけど
果たしてどうやって良いのかわからない。
先生に聞いても
「まぁ、弾くしか無いな」
と、答えになってないような答えが返ってくる。
この時に採った手立てが今から思うと
まさに省くアプローチでした。
ギターソロは全て捨てる。
そう決めることでした。
もちろん、決めるだけでなく
本当に捨てました。
結果、僕はリズムギターの鍛錬に成功し
演奏の仕事を獲得することが出来ました。
音楽はリズム9割だから、
今から考えると
こうなるのも当然といえば当然なのですが。
その後、結局、演奏の仕事は
やめてしまったけど
その代わり、得た経験や知識は
指導スキルに姿を変えて今に至ります。
自分が今、楽しく快適に
指導させてもらえるのは
25年前にギターソロを捨てたことが
発端だと今ではわかります。
更に、捨てたはずのギターソロは
特に何も練習してないのにいつの間にか
満足するレベルで弾けるようになっていた。
この様に、省くことというのは
実は何かを身につけようとする以上に
効果が高い。
何かを成し遂げる、ということは
何かを省くことと同じであり、
何かを省くことの方が容易く
大きな結果を得ることができるのです。
あなたは何を省くことができるでしょうか。