連日、クロッパーの金言を紹介しています。
今回も前回に引き続き、
金言をご紹介します。
まず、今回、引用しているクロッパーの
コメントは以下です。
↓
僕の演奏は昔から下手くそだけど、
売れているのはシンプルにしているからだと思う。僕はギターを弾く人間じゃないし、
時間をかけることもなかった。ギターは道具として使っているんだ。
スタックスのレコードを何枚も作っていた時は、
もう一人ギタリストを雇う余裕がなかったから、
ソロを弾いている時に
リズムが途切れないように、
リズムとリードを同時に弾くことを学んだんだ。
昨日は最初の段落の部分を取り上げ
シンプルの効能を紹介しました。
今回は次の段落です。
僕はギターを弾く人間じゃないし、
時間をかけることもなかった。ギターは道具として使っているんだ。
これは何を意味するのでしょうか?
スティーヴ・クロッパーはギタリストです。
なのに「ギターを弾く人間じゃない」
と言っている。
更には「時間もかけてない」と言っている。
これは何を意味するのでしょうか。
これは
ギターのことだけ考えているわけではない、
と言っているのではないでしょうか。
彼はセッションギタリストです。
つまり、メインとなるボーカリスト等がいて、
その引き立て役をしているということです。
だからギターのことだけ考えて
ギターの技術だけ考えて
弾いていたらダメなんだという
メッセージがこもっているんだと僕は思います。
だから、ギターのフレーズがどうとか
自己満足的な出音云々という
ギタリストにしかわからないような
マニアックなことを突っ込むことはしないし、
そんなヒマもない。
だから、「時間もかけてない」わけです。
その証拠に最後に
ギターは「道具」だと言っている。
クロッパーから見ると
ギターはただの道具でしかない。
その道具で何が出来るのか?ということを
追求して腕を磨くことには興味がないわけです。
前回、解説したシンプルなもので良い
と言っているのもこれなら頷ける。
自分の腕を「下手」と断じたのも
頷けるでしょう?
じゃあ、彼はギターを何の道具として
みたのでしょうか?
それは明らかに曲ですよね。
楽曲を見ている。
そして、その楽曲でメインとなる歌い手等を
サポートして全体で素晴らしい楽曲を
再生させることに心血を注いだ。
だからこそのコメントだとわかるわけです。
そして、結果的に彼は歴史に名を残すほどの
セッションギタリストとなった。
つまり、自分で「下手」と言っているけど
腕も一流となっているのはいうまでもない。
ここにギター上達のコツは見えてこないでしょうか?
ギターで弾くのは音楽を弾くのです。
だったらギターの技術というのは
音楽をより良く聞かせるためにあるわけだから
その目的を逸脱したような練習は
意味が薄れるよ、と言っているのです。
僕達もギターの腕が云々ではなく
自分の演奏から聞こえてくる音楽を
楽しみたいものです。
こういう意識で練習を再度見直すと
意味のないことをやっていたり
無駄の多いことをやっているかも知れません。
是非、音楽を再生するという意識で
ご自身の演奏や練習を眺めてみてください。
長年ギター教えてきて思いますが
手段が目的化している人はかなり多いですよ。
目的を達成させるための手段ですから。
追記
僕もクロッパーと全く同じ意見です。
ギターは音楽の道具。
しかし、多くの人は、
この道具の正しい使い方を知らないまま、
道具に振り回されて苦しんでいます。
道具を体の一部のように使いこなし、
音楽を解像度高く再生するための
最初の一歩を記したのがこの電子書籍です。