連日ポールギルバートの言葉を引用して
書いてきましたが、
最後に伝えたいことがあるので
今日も引用させてください。

ちょっと深く、難しい話になるかもですが
わからなくてもいいから
こういうモノの見方があると思ってもらえると
嬉しいです。

さて。

ポールさんのインタビューの内容を
読んでいると改めて
音楽とは精神的なものである
ということを学ばさせられます。

音楽は人とやるのも楽しいし
人に聞いてもらうのもちょっと恥ずかしいし、
ドキドキするものですが楽しいものです。

自分の曲を創ることも楽しいし
アドリブで即興演奏をするのも楽しい。

それは本能的な楽しさというのが
この世にある、ということを教えてくれる。

だからこそ、音楽活動はヤミツキになるのです。

焼肉屋さんや飲み屋さんに行くと
「ヤミツキきゅうり」とか
「やみつきキャベツ」なんてものがあるけど
かっぱえびせんの「やめられないとまらない」よろしく
止まらないものがヤミツキであります。

論理的に見ると何ら生産性を生み出さないのが
音楽ですが、本能的に人間は
そういう精神活動を求めて止まない存在だと
いうことがわかる。

ヤミツキになる、ということは
まさにそういうことだと思うのです。

だから、音楽は精神活動であり、
人間に欠かせない活動。

演奏なら自己との対話です。

演奏を良くするために自己と対話する。

自分の演奏は何をしたらもっと美しくなるか?
ということを自己と無意識に対話するのです。

身体との対話という側面もあるでしょう。

他人との演奏は
もっと高次なものかもしれません。

他人という自分のコントロール外にある存在から
発せられる音と自分の音を
調和させないといけない。

それがアンサンブルというものであります。

作曲アドリブも同じようなもの。

作曲なら自らの精神を表現するツールになり得るし
アドリブならそれと他者との対話が
同時に成立するかなり高度な活動です。

それを僕たちは何も考えずともできる。

音楽は精神的な活動であり
それを本能的に求めているからこそ
音楽や楽器演奏という文化は
論理的に非生産的にもかかわらず
継承されてきたんだと思います。

そして、忘れがちなことなのですが
そういう音楽の実践を通して
自らの技能を鍛錬していく過程で
大抵の人が通っているのが
先人との対話なのです。

具体的には曲をコピーしたり
曲を分析したりすることを通して
実は先人と多少ならず対話しているものだと
思うのです。

もちろん、多くの人は対話と言って
良いのかわからないくらいの感じで
さらっとコピーして終わります。

もちろん、それでも良い。

でも、ポールさんはそこを深めて来られたはず。

だから先のインタビューで…

どこまで深く音楽と、曲と、
他のミュージシャンとつながることが出来るか、

この様に発言できるのだと思います。

そして、そうやった結果、
世界トップクラスの技能を持つ
ギタリストになった。

いや、そうしたからこそ、
世界トップクラスになったと言うほうが
正確かもしれません。

「つながる」という表現になるところが
非常に妙がある。

音楽や曲を通して
今目の前にいる共演ミュージシャンはもちろん、
今目の前にいないミュージシャンとも
「繋がれてしまう」のが音楽の一側面として
あるのです。

これはどんなテクノロジーでも叶わない
人間の精神だからこそなせる技だと思うのです。

で、それは難しいことには違いないけど
特別な人にしか出来ないのではありません。

あなたにも僕にもできる。

演奏なら、何がこの演奏の雰囲気を
生んでいるのか?

と問い続けてみてください。

作曲なら、何がこのミュージシャンに
この音をこのタイミングで選ばせたのか?

と問い続けてみてください。

前者を追求すると上達の近道がわかる。

後者を追求すると理論を超えた作曲ができるようになる。

※ちなみに僕は両方、レッスンや宅配便を
はじめとするオンライン講座や
コンテンツにふんだんに盛り込んでます。

そうやって音楽と付き合うと
一段高次な付き合い方になると思います。

そして、それはとても楽しいものになる。

ヤミツキになるのであります。

ここまでを読んでピンと来られる場合は
出来る出来ないに関わらず
やろうとしてみてくださいませ。

積み重なるとすごいことになると
思いますよ。