先日、中1男子にレッスンをしたときの話。
彼はまだギターを始めたばかり。
そして、コミュニケーションを取るのが
苦手だから基本言葉を口にするのではなく
頷くだけのコミュニケーションであることが多い。
しかも、彼の母が息子のことを
不器用すぎてギター弾けるのか心配した
というほど。
でも、30分後には彼のギターから
ミセスのライラックのサビの歌メロが
聞こえていました。
ちなみに基礎練フレーズを弾く練習は
させてません。
でも、彼は弾ける。
もちろん、テンポは原曲通りではない。
バラードのようなテンポだけど
ライラックのサビだと誰もがわかるくらい
弾けるようになりました。
恥ずかしがり屋だから
表情があまり動かない彼でも
この時は思わず笑みがこぼれていました。
楽譜も見ずに手元だけ見て弾ける。
かかった時間は30分。
彼はなぜ、弾けるようになっているのでしょう?
それは彼が音の配置を
図形として捉えているから。
これが彼の才能です。
だから、僕はその図形を追いかけさせる。
その時に1つだけ力を抜くことだけを伝える。
緊張するタイプだからすぐに身体に力が入る。
なので、脱力だけ意識させる。
人間の身体は上手いこと出来ていて
力を抜くにもポイントがある。
脱力も突き詰めたら奥が深いけど
何も知らなくても出来ることを伝えてやらせたら
30分後に弾けるようになってました。
ギターとはそういうもの。
やるべきことをやってたら
いきなり弾きたい曲が弾ける実感を得ながら
弾けるようになっていく。
いわゆる「音楽的なセンス」や
「特別な才能」ではありません。
彼の場合は「図形の形を見るのが得意」という
音楽とはあまり関係ない才能があった。
才能とは、何も音楽と関係なくて良いのです。
言葉の真意を捉える才能。
数字を扱う才能。
何でも良いのです。
そういうのを音楽に、楽器演奏に活用する
術が大抵の場合において存在する。
僕はそれを知っているだけだから
生徒の才能を見出しては指導の道具として
使っているだけです。
でも、それは所詮、サブ要素。
メインはいつもいうように
トーンとリズムを表現できる
身体操作を身につけることです。
これが基本。
基礎トレフレーズを
何も考えずに弾くだけで身につく
とか、そういう類のものではありません。
才能がわかっていると基本を習熟するための
武器として利用できる、というだけのことです。
だから、才能探しをする必要もなく
やるべきことをやってギターを楽しくサクッと
弾けるようにする。
この体験が出来たら挫折からは
無縁になるはずです。
もし、あなたがギターやり直し組ならば
この基本的な話に立ち返ってください。
もう、あなたの未来に挫折は
起こらなくなりますから。
追記
ちなみに才能というのは誰にでもあるのです。
良知良能と言って古来からその存在は尊ばれた。
自然と知り、自然となし得る能力。
今回の話でいうなら
中1の彼の才能は図形認識能力です。
だから、僕はその才能を邪魔しないようにする。
そもそも勝手に発揮されるものだから
邪魔しなければいいだけなのです。
勝手に発揮されているから
その様子を見て
トーンとリズムを表現する
身体操作を身につけられる方向へ
水を向けるだけです。
それだけのことですが、
それで十分なのです。
才能とはそういうものだと思うから
特に気にする必要がないのです。
すでにあなたも才能を発揮しています。
それでもギターに不満があるのは
やるべきことを見誤っているからです。
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