前回、スティーヴ・クロッパーの
「リズムとリードを同時に弾く」
という言葉を紹介しました。
これを聞いて、もしかしたらあなたは
「クラシックギターやソロギターみたいに
親指でベースを弾きながら、
他の指でメロディを弾くような
演奏のことか?」
と思ってしまったかもしれません。
実際、先の話を友人にしたら
同じ勘違いをしていました。
もし、そう思って
「自分には無理だ」と落ち込んだなら
安心してください。
クロッパーが言いたかったのは
そういう物理的な曲芸の話ではありません。
「意識」の話なのです。
「同時に弾く」とは
物理的に同時に鳴らすことではありません。
「リードを弾いている時も、
リズムギターを弾いているのと
全く同じ意識(グルーヴと言っていい)で
弾く」
という意味だと僕は解釈しています。
多くのギタリストはバッキングを弾くときと
ソロやリードを弾く時の意識が違います。
まるで「リズムモード」と「リードモード」
というのがあるかのように
スイッチを切り替えて演奏しているケースが多い。
一本背骨が通っていない状態です。
背骨がないとも言える。
そして、背骨であるリズムを忘れて
指を動かすことだけに必死になる。
だから、リードになった途端
音が痩せる、とかいい出すわけです。
身体の使い方が変わっているからそういう事になる。
クロッパーの言う「同時」とは、
ソロを弾いている時であっても
心の中ではリズムギターが鳴り続けている状態。
ソロにも存在するリズムにフォーカスすることで
バッキングと同じような感覚で弾いている。
同じ感覚で弾いているから
背骨が一本通っているようなもの。
結果として、人に好まれる演奏が出来る。
当然、自分で聞いても心地よい。
でも、技巧的ではない。
故に自分のギターは
「下手だけど売れる(好かれる)」
という表現になるわけです。
難しい指の動きが云々
機材で音色云々という話ではないのです。
必要なのは、
「ソロもリズムである」という
意識の転換だけです。
結局、どこまでいっても
大事なのはリズムであり、
それを表現するための身体操作なのです。
これさえわかれば、
あなたが弾くフレーズがバッキングであろうが
リードであろうが関係なくなります。
バッキングもリードも関係なく、
分断されることなく、
演奏が一つの大きな「音楽」になります。
この意識の転換こそが上達の最短ルートです。
ぜひ、今日から「ソロもリズムだ」と思って
弾いてみてください。
それだけで出音が変わってくるはずです。
追記
この「ソロもリズムである」という感覚を
理屈ではなく体感として身につけるための
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追記 その2
感性の段階もあるかも知れませんが
言葉で説明するより
聴いたほうが早いかもしれません。
クロッパーの代表的な演奏である
「Soul Man」や「Green Onions」を
聴いてみてください。
フレーズの種類に関係なく
その境界線がないことがわかるはずです。
全てがリズムという背骨を通して
統合されています。
こういう演奏を目指したいものですね。