「先生が言ってる意味わかりました。これからビシバシやってください」
うちの生徒のO君はレッスンが始まるなり鼻息荒く、目を輝かせてこんなことを言ってきました。
僕は流石に戸惑いました。
それまで、ゆる~くやってたのに急に何事かと思ったのです。
すると彼はこう言いました。
「この前の文化祭のライブでわかったんです。」
何がわかったのか聞くと彼はこう続けました。
「独りで弾いているのとバンドは違う。
家で弾いているのと本番は違う。
でも、これらをすべてうまくやるために何が必要なのかわかったんです」
僕は興味を持ちました。
「この子には何が見えたんだろう」
そう思って詳しく話を聞かせてもらうことにしました。
机の上においてあったサイダーを彼は飲み干して話し出しました。
長くなるので要約します。
- 文化祭ライブはひとまず成功した
- 見てくれていた生徒たちは楽しんでくれた
- でも、ステージで弾いている側からすると地獄だった
- プレッシャーでいつもどおり身体が動かないのと周りのメンバーの感じがいつもと違って戸惑いまくった
つまり、うまくいったから良かったね、とは言えない状況だった、ということです。
とはいえ、初ライブでこれなら上出来です。
見てくれるギャラリーが満足している反応だったのだから。
本来はこれで十分です。
でも、彼はそれだけで満足出来なかった。
だから、家で考えたらしいのです。
自分もお客も楽しめる演奏って出来ないのか?
そうで無いと音楽やっている意味なんて無いんじゃないのか?
と。
すると僕が伝えた言葉が蘇ってきたというのです。
蘇った言葉
その言葉とは
リズムをいつも第一に考えろ、ギタリストだからそうするんや
という言葉だったと言うのです。
まぁ、伝えた本人は言ったことをすっかり忘れてましたが、彼にはリズムが鍵だと思えたようです。
そんな経緯があったから冒頭のセリフになった。
つまり、ビシバシやってくれ、というのは
リズムを徹底的に叩き込んでほしい
という意味だったのです。
そういうことなら、やれるかもしれない。
そう思って、彼にリズムを仕込みました。
半年後、彼はどうなったのか?
半年後。
彼の演奏は激変。
しかも、想定外なことにアドリブも作曲も出来る高校生に変わっていたのです。
演奏力というものの強さを実感した実話です。
そして、演奏力の肝はリズムプレイです。
あなたのギターの技術がどんなレベルにあれ、演奏力を鍛えることを忘れては音楽を長期的に楽しむことは難しいでしょう。
逆に言えば演奏力さえあれば基本OKなのです。
そして、演奏力を鍛える肝はリズムなのです。
つまり、リズムをいつも大事にしていけば間違いないよ、ということです。