「え?マジで?」

 

僕は机の前で横に座っている男の声に耳を傾けていました。

 

彼は僕に向ってこう言ったのです…。

 

「公式は覚えるな」

 

今まで聞いたことがないアドバイス。

 

なぜなら、当時の僕はこう教わっていたからです。

 

「この問題はこの公式に当てはめると〇〇になるよね。だから、こうやって解くんです。」

 

と。

 

つまり、数学では公式がまずあって、それを昔のえらい人が見つけてくれたからそれを使って問題を解くのだ、という教え。

 

何の疑いもなく「そういうもんだ」と思っていました。

 

でも、「公式は覚えるな」と言われると記憶が蘇ってきたのです。

 

「なんでこの公式になったんだろう?」

「なんでこの公式使わなあかんの?」

「この公式見つけたやつはなんでこんなもん見つける必要があったんだろう?」

 

過去に純粋にこう思った記憶。

 

でも、テストで問題を解かないといけないから問題の解き方を覚えるために封印した記憶。

 

でも、僕の横に座っていた男は衝撃を受けている僕を無視してこう続けました。

 

「覚えて忘れたら終わるやろ。」

 

奧田

「確かに…」

 

「だから、公式は忘れたらその場で作れ。

そうしたら忘れても困らない。」

 

奧田

「え…?」

 

「どうやって作ったのか教科書に書いてあるんやし」

 

奧田

「マジで!?」

 

こう言われた後、三角形の面積を出す公式はどうやって作られたのかを教わりました。

 

これが僕の人生を変えました。

 

一番核の部分を掴んだ瞬間です。

 

その1ヶ月後、僕は数学では秀才扱いされるようになりました。

 

そして、高校卒業するまで僕はずっと秀才扱いをされるというそれまでの人生では考えられないことが起こってしまったのです。

 

 

さて。

長くなりましたが、実は、音楽にもこういうことはよくあります。

 

自分なりに一生懸命やっているけど、なんかうまくならない。

 

自分なりにお金はたいて本とか買ってやっているけど、なんかうまくならないし、評価もされない。

 

自分なりにやっているのに続けていくのに虚しさを感じる…

 

こんな風に、努力が報われないという体験は徒労感を産みます。

 

何が結果を左右するのでしょうか?

 

僕の数学体験と同じ様に核を掴んだら良いのです。

 

では、ギターにおいて「核」とは何でしょうか?

 

ギターの場合、核は1つではありませんが…

 

トーンとリズム、演奏時の身体の使い方は「核」です。

 

なぜなら、ギターは左右の手の動きでトーンとリズムを表現するものだからです。

 

 

想像してください。

 

もし、今までよりもピッキングがスムーズに、弦の抵抗を感じない弾き方が出来たらどうなるでしょうか?

 

もし、今までよりも指が速く、ラクに動いて思ったところにスッと指がいって指板を駆け巡るようなフィンガリングが出来たらどうなるでしょうか?

 

ピッキングもフィンガリングもスムーズに思うように動くのであれば、あなたのギター演奏はどうなるでしょうか?

 

そして、その状態でトーンとリズムを表現する練習を散々やったらどうなるでしょうか?

 

是非、イメージしてみてください。

 

それが核をつかんだ時に期待できることなのですから。

 

それまで数学がクルクルパーでバカにされていた16歳の高校生が1ヶ月で秀才になったように…

 

あなたのギターも大変身する可能性はいつも開かれているのです。