初心忘るべからず、という言葉があります。

世阿弥の教えですが、
世阿弥がいう意味は3つあるそうです。

是非の初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず

この3つだそう。

是非の初心というのは
未熟な時に学んだ是非のこと。

誰しもが最初は是非がわからない。

何が善きこと、効果があることか
何が悪しきこと、効果が上がらないことなのか
そんなことはわかりません。

それをいろんな体験を分析して
何が是で、何が非なのかを
明らかにしていくわけです。

その時の記憶を忘れてはいけない、
ということです。

時々の初心というのは、
年季を入れていくと、
経験を分析した結果、得られた智慧が
データベースとして溜まってくる。

それを忘れるな、ということです。

老後の初心忘るべからず

というのは、年齢を重ねると
肉体的には自由が効かなくなる。

40、50は洟垂れ小僧なんていいますが
20代の頃と比べると肉体パフォーマンスは
間違いなく衰えています。

20代、30代のときに出来たことが
少しできなくなっている感がある。

これが年齢重ねると更にできなくなるでしょう。

でも、そういうときに
若い時の感覚、心の清新溌剌さを
忘れるな、ということだと思っています。

これはあくまで僕の世阿弥の言葉の解釈ですが
これはギターでも同じ。

いつまでも清新溌剌な心で
様々なことの是非を明らかにする、気概を持て
ということであります。

だから、最近は20年蓄えてきた
リズムギターのメソッドを
ギターソロやリードにまで活用して
今までやらなかったような複雑なフレーズを
乗り越える検証をしています。

僕のリズムギターメソッドは
大抵の速弾きソロとかでも有効なのは
わかっていることなのですが、
ものすごく速い、メタル等のソロでは
ちょっと工夫を入れなければ活用できません。

工夫ならどんな工夫がいいのか?

工夫をしたらどれくらい弾けるようになるまで
時間と労力を短縮できるのか?

そういった細かい是非を
僕も明らかにしようとしています。

自分の活動としても
優秀なギターコーチを増やすことが
業界にとっていいことだと信じていますが
コーチとして活動するには何が必要なのか?

短期的に活動して終わりではなく
長期的に活動してたくさんの人の助けになる
コーチを輩出するには何が必要で
どうやったらそういう人物を輩出できるのか?

ということは日々、
データベースを積み重ねているつもりです。

そうやって清心溌剌な心がけをもって
ギターでも弾いていけば
人生に有益なモノになる。

上達も重要なことでありますが
それは結果でしかないのです。

世阿弥も残した「初心わするべからず」の
気概でたのしめるように、
今日もギターを弾きましょう。