昔々、ある王様に献上品として、
一頭の馬が差し出されました。
しかし、この馬、名馬というのだけど
王の前に引き出されても荒れ狂い、
暴れまわるばかり。
全く手がつけられず、
これでは使い物にならない
ということで王は処分を命じる。
しかし、それに制止をかけたのが、
まだ幼い王の息子だった。
この王子は王にこういいます。
「もし、私がこの馬を御することが
できなければ、その馬の代金を自分が支払う」
「それならやってみよ」
ということで、暴れ馬に対峙した王子。
王子は馬と対峙するや否や、
すぐに馬の首を太陽の方に向けた。
すると途端に馬は王子の言うことを聞き
彼はそのじゃじゃ馬を制することが出来た。
王は驚き、どういうわけか尋ねる。
すると王子は種明かしをする。
この馬は己の影におびえていただけだ。
だから、影を見せないようにしたら
いいだけなのだ、と。
これを機に我が子の才気に
王は事の他喜んだ、という話がある。
この王子こそ紀元前300年代に活躍した
アレクサンドロス大王です。
さて。
この王は息子、アレクサンドロスに
どんな才気を見たのでしょうか。
これはアレクサンドロスの観察眼だ
と言われています。
何と言ってもひと目見て
暴れ馬の性質を見抜いたのですから
なかなかすごい能力です。
結果、この王は息子に
「お前にふさわしい王国を探しなさい。
マケドニアにお前がいる場所はない。」
と言ったほど。
つまり、
息子よ、お前は
マケドニアなんて小さな国に
おさまっていてはいかんのだ、
といいたいわけです。
観察眼だけでここまでのことが言える。
つまり、観察眼とはそれほどの能力である、
ということを表しておりますね。
さて。
ギターにおいてもこの観察眼。
ものすごく重要です。
練習方法に則って素直に練習出来る
努力も重要だし、
継続して練習を続ける
習慣力も重要です。
しかし、この観察眼を持っていると
ギターにおいても努力の報われ方が変わります。
ギターの場合は音楽ですから
観察と言っても
如何に音を聞けるか?
音に対する洞察力を如何に持っているか?
ということが上達や進歩の鍵になります。
実際1つの音を聞いて
「◯弦の◯フレットの音だね」
ということで終わる人と
「あ、この日はなにか体調が悪かったのかな?なにか心配事でもあったのかな?」
という事を読み取れる人は
音に対する感度が違う。
当然、後者の人の方が
ピッキング、フィンガリングと言った
基本技術に対しても捉え方が違います。
結果、出音も違うのです。
音に対する観察力、洞察力。
そういうのを意識してみてください。
この音は如何にして出しているのか?
そう思いながら音楽を聞くだけでも
ギターのヒントを得られるのは間違いないです。
こうやって得たヒントが本当に
人を上達させるのです。